あめつちに独り生きたる ゆたかなる心となりて 挙ぐるさかずき 牧水 |
酔うてこおろぎと 寝ていたよ 山頭火 |
波間のサザエと磯遊び (春) 谿畔 |
幾山河越えさり行かば 寂しさの終てなむ国ぞ 今日も旅ゆく 牧水 |
青蛙おのれもペンキ 塗りたてか芥川龍之介 |
南瓜しくりと割る 冬至は いい夜長もいい (秋)谿畔 |
かんがえて 飲みはじめたる 一合の二合の酒の 夏のゆふぐれ 牧水 |
飛び跳ねたいが行儀よく 殿様だから(秋) 谿畔 |
如月の 海の稔の 飯蛸(春) 谿畔 |
やわらかな空 今日は 蕨狩り(春)谿畔 |
啓蟄と 知っているのか 団子虫 (春) 谿畔 |
ハサミを振りかざしても 何故か微笑ましい(夏) 谿畔 |
石蕗(つわ)が咲き ますます深い海 (冬)谿畔 |
破顔の大根引き (冬)谿畔 |
うまく行くかは 走って みなきゃわからない(秋) 谿畔 |
海鼠を見ずに食うか 見てから喰うか (冬)谿畔 |
友と釣り競う テナガエビ (夏) 谿畔 |
幼い頃 時を一緒に 過ごした追川(夏) 谿畔 |
ひとときの 涼しさか 金魚の売り声(夏)谿畔 |
秋の聲 鈴の蟲(秋) 谿畔 |
犬との散歩で 会う土筆 (春) 谿畔 |
コートなしで見る 葱の 擬寶(春)谿畔 |
時がゆっくり 行こうじゃない かと言ってるようだ (春)谿畔 |
流れの中の ハンザキに 心奪われる(夏)谿畔 |
やはり妥協も必要か 孤高のものよ(冬)谿畔 |
邪気を祓え 羽子板市 (冬) 谿畔 |
泣く子はいねが 恐くも あり楽しくもあり(新年) 谿畔 |
冷たい水から 春の 便りの桜蝦(春)谿畔 |
風を待つ 日だまりの 蒲公英(春)谿畔 |
わが思いも 一緒に のせて望潮 〔シオマネキ〕(春)谿畔 |
玄鳥〔つばくらめ〕 挨拶がわりに低く飛ぶ (夏) 谿畔 |
水無月の渡り蟹(夏) 谿畔 |
参拝も 主が留守の 神無月(冬)谿畔 |
将軍を 幾度か耳にし 寒明ける(春) 谿畔 |
パステル色で 出掛けて 見たが彼岸西風(春)谿畔 |
一服し 遠くで聞こえる 茶摘唄(春)谿畔 |
時までも あたらしい 東雲の朝(新年) 谿畔 |
寒の 次に備えて はや剪定(春)谿畔 |
跳ねるしぶきが 頬ぬらす ヒヤッと初筏(春)谿畔 |
塗畦に残る 鳥の足跡 (春) 谿畔 |
ずらりと並ぶ 買初は これ運だめし(新年)谿畔 |
ページをめくる 指先が 逆らう寒土用(冬) 谿畔 |
白く 上書きしたよう 冴返り(春) 谿畔 |
靴おろす ぎこちなく 植木市(春)谿畔 |
誰が住む 馳せる思いの 二つ星(秋) 谿畔 |
暑さ過ぎ 雷声収め 葉も落ちる(秋) 谿畔 |
稲穂揺れ 風の足跡 深き秋(秋)谿畔 |
切なさを 秘め枝先に 帰り花(冬)谿畔 |
舶来も 肌にはりつく 油照り(夏)谿畔 |
口ゆすぎ 冷やかなり 水道水(秋)谿畔 |
うそ寒や やわらかな陽に 毛布干す(秋)谿畔 |
びんつけ油 香り漂う 九州場所(冬)谿畔 |
除雪跡 覗く地肌に 白吐息(冬)谿畔 |
立て掛けて 静か玄関 鬼打木(新年)谿畔 |
解禁を 待つ手かざして 余寒の火(春)谿畔 |
春分の 文字を眺めつ 草の餅(春・季重)谿畔 |
夏めくや 波しぶき浴ぶ 虹と肌(夏)谿畔 |
雨音止む 読みかけ 伏せて 煮梅出し(夏) 谿畔 |
林間の 風をもまとう サンドレス(夏) 谿畔 |
終戦日 小さき画面の ホームラン(秋)谿畔 |
自慢げな あぁ鯉幟 雲を喰う(夏) 谿畔 |
早乙女や 田笠の影の 泥えくぼ(夏) 谿畔 |
降りて待つ 土用の駅の ピアノ前(夏) 谿畔 |
天の川 吾おのれの 瞬きなり(秋) 谿畔 |
吾子晴着 我寝巻の 菖蒲酒(夏) 谿畔 |
サングラス 尚もマスクの 悪党か(夏) 谿畔 |
弟切草 二枚重ねの 高気圧(秋) 谿畔 |
どこへ行く 早く帰れと かなかなと(秋) 谿畔 |
秋近し 麻のジャケットに ホットコーヒー(夏) 谿畔 |
新涼や 鳴き声は つくつく法師(秋) 谿畔 |
三日月の 下へ 向かいし 影ほのか(秋) 谿畔 |
鰯なぞ 言いつつ 売場 二度通る(秋) 谿畔 |
凶弾の その後を 問えば雨の蝉(夏)谿畔 |
合掌の 中身は 十色 盆休み(秋)谿畔 |
国葬に なに思うやら 虫の声(秋)谿畔 |
鹿威し 微かな音を 訪ねけり(秋)谿畔 |
我が巣箱幾度覗くも 蜂はなし(春)谿畔 |
夏めいてマスクも外し 紅をさす(夏)谿畔 |
海遊び 家路振り向き 雲の峰(夏)谿畔 |
雨も止み 髪も調え 白い靴(夏)谿畔 |
猛暑日も 楽しかりし日 初嵐(秋)谿畔 |
日も短かあぶれ蚊とまる シャツの裾(秋)谿畔 |
ひつじ田に案山子静かに ソロキャンプ(秋)谿畔 |
温暖化ラップのような 初氷(冬) 谿畔 |
絵手紙とは一味違う本物の書風をお愉しみください。実際にお使いになる のもよし、飾るのもよし、また近代詩文の手本としてもどうぞ。 こちらの作品は絵葉書してでも販売しています、各1枚120円(10枚からの販売です)。いかがですか |