土用は人気を独り占め
(夏)谿畔

目の前に
エサを落とされると
チョット弱い(秋) 谿畔
蟷螂と目と目が
合ってしまう
(秋)谿畔
ルージュをひいて
春を告げに
来ました(春) 谿畔 
岩魚釣り 
横たわる橙黄色に
心ときめく(夏) 谿畔
春の朝日に 
真先に開く
福寿草(春) 谿畔
暑さの中でこそ 
ふさわしい
聲(夏)谿畔
桜が咲いて山女魚も
サビを落とします(夏)
谿畔
海月を見つけ
今年も夏が終わる(夏)
谿畔 

釣れない釣れないと
言う前に鑑札を
魚から見える位置に
付けなさい(夏) 谿畔
秋を連れて 
秋刀魚来る(秋)
谿畔


これはこれで十分快適
蓑の中(秋) 谿畔 

嵐が過ぎ 輝きを増す
太刀の魚(秋) 谿畔 
泳ぎも ゆっくりに見える
寒鯉(冬) 谿畔 
嚴しい森では 榎茸も
逞しい(冬)谿畔
自身の 価値を 
知るか伊勢エビ(新年)
谿畔
隔年の楽しみ 
柿がなる
(秋)谿畔
初霜のクリスマスローズ
(冬)谿畔
北風にはゆず湯がいい
(冬) 谿畔

福よこい 夜通しの
だるま市(新年) 谿畔
浮遊する光は 夜の
淋しさを忘れさせる(夏)
谿畔
ドキッとする怪しい美しさ
(夏)谿畔
今年も来たか 
鰹の烏帽子(秋)谿畔
空飛ぶものよ 
俺が相手だ(秋)谿畔
その姿で この美味さ
なべこわし(冬) 谿畔
まさに この季節 
手套を脱する(冬) 谿畔
裏白が そっと見つめる
書初め(新年) 谿畔
上達を願い 寒さ残る
針供養(春)谿畔
漆黒の 水面に赤く
鵜松明(夏)谿畔
汗を拭くのも 忘れて
盆支度(秋)谿畔
物の音澄み 
彼方へつづく 
飛行機雲(秋) 谿畔
一つ千切り 
二つ千切り
むかご飯(秋) 谿畔
秋初め いまだ寝返りの
数減らず(秋) 谿畔
もつれる足に 大応援の
体育の日(秋) 谿畔
風も冷たさを増す 
蒟蒻掘り(冬)谿畔
寒中に 香気ただよう
畳替え(冬)谿畔
いそいそと 流れを渡り
鱸釣る(秋) 谿畔
遥か南からの
手まねきか
玄鳥帰る(秋) 谿畔
漸寒き朝 両腕を 
さすってみる(秋)谿畔
なに思ひ ワイパーに
しがみつく冬蝗(冬)谿畔
見上げれば軒で目が合う
雀の子(春) 谿畔
酒をくむ 友が持ち来た
身欠鰊(夏) 谿畔
梅雨寒やストーブの跡
振り向いて(夏) 谿畔
蟹を追う 
ふと気がつけば
土用波(夏) 谿畔
つま先が行こう行こうと
冬日和(冬) 谿畔
踏みつける黒き違和感
土竜塚(新年) 谿畔
節目の香 見渡す黒き
野焼き跡(春) 谿畔
鍵が鳴る 北窓開き
髪なびく(春) 谿畔
ながき坂 咲き昇るよう
秋日傘(秋) 谿畔
目印の 憧れ行くや
すがれおひ(秋) 谿畔

手の甲や 垂れる古酒
しわ眺む(秋) 谿畔
山に凩 海にも尚
こがらし(冬) 谿畔
黒き鳥 低く風切る
夏近し(春) 谿畔
散歩道 誰知る紅の
牛蒡の花(夏) 谿畔
梅雨晴れに ゆらぐ船影
髪乱る(夏) 谿畔
麦わらと 逃がさぬ
気迫 網は白(夏)谿畔 
露窓に 名残の空と
写る顔(暮) 谿畔


フルマラソン やはり
歩いた 仏の座(新年)
谿畔
鶯餅 口元までの
ちから加減(春)谿畔

隣席の 会話ニヤリと
四月馬鹿(春)谿畔

白魚や ちさき波紋に
止まる箸(春) 谿畔
哲学の 片鱗見えぬ
浮かれ猫(春) 谿畔
津波跡 苔の慰霊碑
柳絮舞う(春) 谿畔
まだ冷り 浸すなみうち
油風(春) 谿畔
大寒や 庭のつぼみに
励まされ(冬) 谿畔
気配消し 猫背で
隠す接木かな(春) 谿畔
咲く音が するよう無人
花見径(春) 谿畔
浚渫や 若夏来たり
稚魚の群れ(夏) 谿畔
静けさの 流氷の音
瞼閉づ(春) 谿畔
独占め 黄金比率
窓桜(春) 谿畔
巣ごもりの 部屋着
選びも 更衣(夏)谿畔
打ち水を 避けて ジグ
ザグ 革の靴(夏)谿畔
独裁と 愚かな火花
寒き国(無季) 谿畔
ジェット機も 鳥も気球も
春の空(春) 谿畔
連休に アイスクリーム
ことし初(夏) 谿畔
寝返りの 夜中に遠く
不如帰(夏) 谿畔
ああ この竿もこの浮子も 
高かったんだとなんとか
水の中に伝えるて
だてはないものか(夏) 谿畔 
あっ 流れ星だ 
「今度50センチオーバーの
大物をよろし・・・あぁ」 
もっと文章を簡潔に
しなければ(夏)谿畔 
竿先に伝わるブルブルは
夏の便りか(夏)谿畔


絵手紙とは一味違う本物の書風をお愉しみください。実際にお使いになる
のもよし、飾るのもよし、また近代詩文の手本としてもどうぞ。
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